【重要】法人カードで貯めたポイント・マイルは個人利用してもいい?
会社の運営や事業を行うにあたり、日々経費の支払いが発生します。
現金でその都度支払うことがあるかもしれませんが、多くの方は法人カードを利用して支払っているでしょう。
そして、法人カードを利用した際に獲得できるのがポイントやマイル。
法人カードでポイントやマイルが貯められるタイプのカードを使っている場合、貯めたマイルは個人利用していいのでしょうか?
個人利用して問題ないマイル、問題になりうるポイントがあるのかなどの疑問に答えるべく今回は、法人カードで得たポイントやマイルの個人利用について解説します。
法人カードで貯めた「ポイント」、「マイル」について、社長や個人事業主が個人的に使うことはできるのか、社員に使わせないための対策を解説します。
貯めたポイントやマイルを個人利用することは「グレー」
結論から申し上げると、法人カードで貯めたポイントやマイルを個人利用することを現時点で法的に言うと「グレー」だと言えます。
法律上はグレーと言えますが、法人カードで貯まったマイルはできるだけ個人利用しないほうが良いでしょう。
現段階の国税庁のホームページで公表されている見解によれば、ポイントやマイルの取得自体が贈与契約にあたります。
そして、贈与である以上法人の資産に該当すると記されています。
これはあくまで研究活動用の資料を参考にしているのですが、国税庁がホームページに記載しているということもあり、利用しないことが賢明です。
法人カードの契約者はあくまで法人であり、貸与されている社員にポイントやマイルの所有権がないと考えておくと間違い無いでしょう。
社長が個人利用する分には可能
では、社長が法人カードのポイントやマイルを個人利用する場合はどうでしょうか。社員が個人的にポイントやマイルを利用するのとは扱いが異なってきます。
それは、法人カードの名義人である「社長・法人代表者」がポイントやマイルを個人的に使うというのは、カードの名義人(代表者)本人がポイントを使うという扱いになるので問題はありません。
ただし、いくら法的な問題が無いとはいえ、中小企業の社長・法人代表者が個人的に使うとなると、社内的にあまり良く無いかもしれません。
というのも、あらかじめ社内ルールが定められており、「社員の私的利用は禁止」とされていた場合、社内の人間として、経費で生まれたポイントやマイルを社長だけが私的に利用するのはいかがでしょうか。
その辺りの懸念点がクリアできるのであれば全く問題無いでしょう。
個人事業主は自身の判断で利用可能
個人事業主の場合、自分が事業者本人であり法人クレジットカードの名義人でもあるので、貯まったポイントやマイルの権利は自分自身にあります。
そのためマイルの利用判断を行うのが自分であることは明白でしょう。
税務上の扱いとしても、自分の事業で貯めたポイントやマイルをそのまま個人利用するだけなので、「雑所得」として処理してしまえばなんの問題もありません。
社員の場合は会社のルールによる
社長以外の他の役員や社員も法人カードを利用しており、それによりマイルが蓄積する場合はルールを作ることが必要です。
追加カードの名義人は各個人であっても、家族カード、追加カードを持たせて利用させている場合も、実際に年会費や利用分の費用を支払っているのは事業者である法人のため。
なので、法人、会社のルールとして個人利用のルールが明確に定まっていて個人利用できる場合もあれば禁止する場合もあるでしょう。
ポイントやマイルの「業務上横領罪」について
ただし、法人カードの利用で獲得したポイントやマイルを個人利用した場合に、状況によっては「業務上横領罪」という罪に問われる可能性があることは覚えておいてください。
業務上横領罪とは、経費の支払いを法人カードを利用したことによって獲得した余得物を自分のものにしてしまうことにより、成立する犯罪を指します。
刑法の253条によって定められており、万が一業務上横領罪を犯してしまうと、10年以下の懲役刑が課せられてしまいます。
というものの、法人カードのポイントやマイルを個人利用してしまったからといって、必ずしも業務上横領罪として罪に問われるとは限りません。
先ほどもご説明した通り、法人カードで獲得したポイントやマイルの個人利用に関しては、現段階で法律上「グレー」のままです。
はっきりと法律で禁止はされていないので、ポイントの個人利用が業務上横領罪に当たるかはわからないというので、なんとも言えない状態と言えます。
法律でクロと言い切れないとはいえ、法人カードを貸与されている社員がポイントやマイルを個人利用すれば、当然法人の代表者や個人事業主と問題になる可能性があります。
社員や従業員が勝手に法人カードのポイントやマイルを個人利用することは控えることが良いでしょう。
マイルの税務上の扱いはポイントと同様
法人カードの利用で獲得できるマイルは航空券やさまざまな商品と交換することが可能な経済的価値のあるもの。
そのため、マイルの税務上の扱いは、同様の経済的価値を有するポイントに準じることとなります。
経費決済で獲得したマイルは事業所得となる
法人や個人事業主が経費決済に法人カードを利用することで貯めたポイントやマイルが、一部の考えでは購入に対する獲得物である限り事業所得に該当する可能性があります。
そうなると、還元されたポイントやマイルは所得税の対象になり得る経済的利益と考えられます。
しかし、今の段階で実際にポイントやマイルが課税されるかどうかについては、税務関連の専門家の間でも意見の分かれているところであり、税務当局の統一見解があるわけでもないのが現状。
今すぐ税金がかかるわけではありませんが、近い将来税金がかかってもおかしく無いと言えます。
社員が個人利用する場合の扱いを検討する
社員が自分の法人カードで獲得したポイントやマイルを個人利用できるようにする場合、会社で事前にルールがあると良いでしょう。
カードの名義人である法人、事業者側に所有権利のあるポイントやマイルを、許可のもとであれば社員が個人利用することができると言えます。
その場合の名目としては福利厚生として利用することが多いです。
法人カードで貯まったポイントやマイルの有効活用
法人カードで貯まったポイントやマイルを有効活用するにはどうしたらいいのでしょうか。
活用方法を見出せないまま放置しまっていると、法人カードのポイントやマイルが消失してしまうこともありますので、注意してください。
出張の際の経費利用
会社にとってお得なポイントやマイルの活用方法は出張費です。
社員よりも経営者であれば、国内外問わず仕事で出張に出かける機会が多いかと思います。
クレジットカードのポイントやマイルは、出張で欠かせないホテルの宿泊や新幹線飛行機といった交通機関の費用、出張中に発生する経費の支払い等に利用することが可能。
クレジットカード会社が実施しているポイントプログラムを利用すれば、出張の際に必要な宿泊費や交通費に充てることができます。
そういった活用方法であれば経費を抑えられるというメリットが大きくとてもお得です。
社員によるマイルの個人利用を防ぐおすすめな方法
万が一、会社で法人カード利用で獲得したポイントやマイルを個人利用することを禁止するのであれば、間違ってでも活用されることを事前に対策する必要があります。
社内ルールを定める
現状の法的な縛りがない場合でも、社内で不正に対するルールがきちんと整っていれば、いざというときもスムーズに対処することが可能です。
万が一、ポイントやマイルの不正利用が発覚した際にペナルティを課すとルールを作成しておきます。そうすることで、社員の給与から利用したポイントやマイルの分だけ金額を天引きするとなれば、社員に対して抑止力になるでしょう。
この社内ルールは実際に個人利用が起こってしまわないように、事前にトラブルが起こらないようにするために取り決めを作っておきたいところです。
利用明細の把握をしておく
法人カードの利用明細を見れば、現段階の貯まっているポイントが確認できます。
会社の経理担当者が利用明細やポイント残高を把握していれば、万が一不正利用されとしても、ポイントが減ったことに気付きすぐに対処できるでしょう。
法人カードの利用明細のチェックを実施していることを日頃から社内に浸透させておくだけも予期せぬ個人利用を抑止できる可能性が高いです。
法人カードの所有者を社内で少数に限る
上記2つの方法の他に、根本的に社内で法人カードを所有する人を制限することも個人利用を抑止するのに効果的でしょう。
社内で法人カードを利用する機会があまり無い社員には法人カードを持たせず、管理職や役員人までにしておけば、ポイントやマイルの管理もしやすく個人利用の防止に役立つでしょう。
法人カードのポイント・マイルの個人利用についてまとめ
日々の法人カード利用で得たポイントやマイルは、基本的に会社の所有物であるため個人的な使用はしてはいけません。
このページでも言及しましたが、場合によっては「業務上横領罪」に問われる可能性があるので許可の無い個人利用は危険です。
必要の無い犯罪を防止するためにも、事前にポイントやマイルの個人利用に関する社内ルールを設けたり、個人利用を行えないように対策を実施することが企業としても大切になります。
ぜひこのページで紹介したことを参考にして、社長、会社の社員全員が不満の出ないような満足できる活用方法を見出してポイントやマイルを活用するようにしましょう。