業務上で発生する様々な支払いに利用できるのが法人カードです。法人カードには、個人向けカードにはない特徴があります。
しかし、初めて法人カードへ申し込みする方だと、どんな特徴があるのか分かりにくいことはありませんか?
本記事では法人カードの特徴や種類、活用のメリットなどを分かりやすく解説していきます。法人カードの作り方を知りたいという法人の方や個人事業主の方も、本記事を参考にしながら申し込みしてください。
法人カードとは?その特徴について
法人カードとは、いったいどんなクレジットカードなのでしょうか。
まずは法人カードの特徴について、詳しく解説していきます。
法人カードの種類
法人カードを大まかに分けると、
- 中小企業や個人事業主向けのビジネスカード
- 大手企業向けのコーポレートカード
の2種類になります。
20名以下の従業員に追加カードを持たせたいときに適しているのがビジネスカードです。
一方、企業のカードといった意味を持つコーポレートカードは、20名以上の従業員に追加カードを持たせたいときに適しています。
法人カードのランク
法人カードは、
- 一般カード
- ゴールドカード
- プラチナカード
と3種類のランクがあります。
上記のランクのうち、一般カードは最もスタンダードな法人カードです。年会費は無料から1,200円ほどが目安。
ゴールドカードは、一般カードの上位ランクとなる法人カードです。一般カードより付帯サービスが充実しているのがメリットのひとつ。年会費は2,000円から1万円ほどが目安となります。
最も上位ランクとなるのがプラチナカードです。ゴールドカードより付帯サービスはさらに充実しています。年会費は3万円から5万円が目安となっており、法人カードのランクの中では最も高額。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・プラチナ・カードといったハイステータスの法人プラチナカードでは、年会費13万円(税抜)となります。年会費が高い代わりに、ハイクラスのサービス付帯なのが魅力です。
法人カードの限度額
個人向けカード同様、法人カードにも限度額(利用枠)が備わっています。
限度額とは、支払いできる上限金額のこと。法人向けの法人カードはショッピング利用枠のみ、キャッシング利用枠なしが原則です。
個人事業主向けの法人カードではショッピング利用枠、キャッシング利用枠付きの場合があります。
限度額は重要
経費の支払いに利用する法人カードでは限度額が重要です。限度額が低すぎると、今月の経費を支払いしたいけど限度額が足りないといった状況になりかねません。
法人カードのランクが高くなるほど、限度額も高くなるのが基本です。
そのため、限度額が気になる方は法人ゴールドカードや法人プラチナカードを選ぶと良いでしょう。
他にも一律の限度額がない
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード
- ダイナースクラブビジネスカード
といった選び方もあります。
法人カードの決済型
法人カードには、
- 会社決済型
- 個人決済型
といった2種類の決済型があります。法人口座から引き落としされるのが会社決済型です。
一方、個人決済型では個人口座から引き落としされるという違いがあります。
JCBの法人カードのように、
- ビジネスカードは個人口座から引き落とし
- JCBコーポレートカードは法人口座から引き落とし
種類によって決済型を分けているものが見られます。
支払い方法は1回払いが原則
法人向け法人カードの支払い方法は、1回払いのみが原則です。締日15日・支払日翌月10日の場合は、締日15日までのカード利用代金が全額翌月10日に引き落としされます。
口座が残高不足だと引き落としできないため、支払日までに入金しておきましょう。
数が少ないですが法人カードによっては、
- 1回払い
- 2回払い
- ボーナス払い
- 分割払い
- リボ払い
と複数の支払い方法を選べるものが見られます。支払いを複数回に分けたいときに便利なのが分割払いやリボ払いです。
ただし、分割払い・リボ払い手数料が発生する点には注意してください。
法人カードを加盟店で提示したときのサイン
法人カードの表面には、国際ブランドのマークがあります。
国際ブランドのマークが、
- visaならvisa加盟店
- mastercardならmastercard加盟店
- JCBならJCB加盟店
での支払いに使用可能です。
法人カードを各加盟店で提示したとき、店員さんからサインを求められることがあります。
個人向けカード同様、法人カードでも個人名でサインするのが基本です。
追加カードを従業員に持たせる場合、従業員の名義で発行されますので、従業員の個人名でサインしてください。
個人向けクレジットカードとの違い
法人クレジットカードと個人向けのクレジットカードの違いは大きく分けて4つあります。
- 利用限度額が大きい
- 法人口座からの引き落としが可能
- ビジネス向けに特化した付帯サービスがある
- キャッシング機が付帯していないことが多い
個人向けカードと法人カードの違いを表に表すと下記のようになります。
種別 | 付帯サービス | 利用限度額 | お支払い口座 |
法人カード | 法人向け | 高 | 法人口座、個人口座 |
個人カード | 個人向け | 低 | 個人口座 |
ここからは、法人カードと個人カードの違いをひとつずつ紹介していきます。
利用限度額が大きい
法人カードは、個人カードに比べて高額な費用の支払いに利用することが多いため、基本的に利用限度額が高くなります。
そのため、通常個人カードでは限度額を気にするような大きな金額のものも、スムーズに購入することができます。
限度額に関しては、企業の信用度によっては数十万から開始するというカードもありますが、会社の業績や法人カードの利用実績、返済履歴によっては限度額を大きくすることが多いです。
法人口座からの引き落としが可能
法人カードの引き落としには、一般的に「法人決済型」と「個人決済型」の2つの引き落とし方法が存在します。
法人決済型は法人口座、個人決済型は個人口座から利用金額が引き落とされることになります。
法人決済型にするメリットとして、日々の経費や光熱費、インターネットでの買い物などを法人カードに一本化することで、引き落としのタイミングをそろえることができます。
そうすることで、キャッシュフローの把握がしやすくなったり、振り込みや諸々の手数料削減出来ることもメリットになります。
ビジネス向けに特化した付帯サービスがある
法人カードの多くは、利用に応じてポイントが付与されたり、マイレージサービスを受けたりすることができます。
社員に持たせている複数枚のカードで、貯まったポイントを親カードにまとめて、会社の備品などを購入することで社員に還元することができます。
また、海外旅行の損害保険付帯サービスや海外でのキャッシングも利用できます。海外出張中のトラブルも保証されるため、保険料の節約にもなります。
法人カードによっては、スポーツクラブの優待や健康診断が割引で受けられるサービスが付帯されていることもあり、経営者だけでなく、従業員への福利厚生に利用できますので、自社で必要なサービスが充実した法人カードを選ぶと良いでしょう。
法人カードの活用メリットについて
現金での支払いではなく、法人カードを利用するメリットが下記になります。
- ポイントを貯める
- 様々な支払いを1枚にまとめる
- 付帯ビジネスサービスを利用する
- 付帯保険でリスク軽減させる
など様々なメリットがあります。それぞれの活用方法について、詳細は次の解説をご覧ください。
ポイントを貯める
法人カードでもポイントが貯まるものがよく見られます。
0.5%のポイント還元率が平均ですが、中には1.0%という高還元の法人カードもあります。
ポイント還元率1.0%の法人カードなら、1.0%の経費節約が期待できるのが魅力。
カード利用代金は個人向けカードよりも、法人カードのほうが多くなる傾向があります。そのため、個人向けカードよりも、法人カードのほうがポイントが貯まりやすいです。
法人カードによって異なりますが貯めたポイントは景品、他社ポイント、キャッシュバックなどに交換できます。
様々な支払いを1枚にまとめる
法人カードでは利用明細データを会計ソフトに取り込めるサービスを提供している場合があります。
そのため、経費精算の処理が楽になるのがメリットのひとつです。人件費の節約も期待できるため、業務上で発生した経費はなるべく1枚の法人カードで支払いしましょう。
税金を支払いする
2017年1月4日より、国税もクレジットカードで支払い可能となりました。
クレジットカードで支払いできるのは、
- 申告所得税及び復興特別所得税
- 法人税
- 消費税
- 相続税
- 贈与税
など様々な税金が対象です。
わざわざ金融機関や税務署の窓口で税金を支払いする手間はかかりません。多額な納付金を持ち歩くこともなくなります。
ただし、税金をクレジットカードで支払いすると、次の決済手数料を負担しないといけません。
税額決済手数料1円~1万円76円2万1円~3万円228円以降1万円ごと76円加算
しかし、ポイント還元率1.0%の法人カードなら決済手数料の相殺が期待できます。
有料道路の通行料金を支払いする
営業車や配送車などで有料道路を走行するときに便利なのが、ETCカードを追加できる法人カードです。
従業員にETCカードを持たせると、有料道路の通行料金を法人カードで支払いできるようになります。
通行料金の支払いに使えるETCマイレージサービスのポイントが貯まるため、交通費の削減が期待できるのが魅力。
公共料金を支払いする
オフィスの公共料金も法人カードで支払いできます。電気代・水道代・ガス代など、別々に支払いする煩わしさはありません。
電子マネーで支払いする
法人カードによっては電子マネーを利用できます。電子マネーは消耗品など比較的少額な支払いに便利です。
Apple Pay対応の法人カードもあり、スマホ決済サービスも利用できます。
付帯ビジネスサービスを利用する
法人カードで積極的に利用したいのが、付帯のビジネスサービスです。付帯のビジネスサービスは法人カードによって異なりますが、
- 会計ソフトとの連携サービスで経費管理を楽にする
- レンタカーサービスで営業車をお得な料金でレンタルする
- 空港ラウンジサービスで空港での待ち時間を過ごす
- グルメサービスで取引先との接待費用を削減する
- 福利厚生サービスで従業員に福利厚生を提供する
など様々な活用方法があります。
プラチナランクの法人カードでは、コンシェルジュサービスも利用可能です。海外出張時のホテルやレストラン、航空券などの予約・手配をコンシェルジュにお任せできます。
付帯保険でリスク軽減させる
法人カードには旅行保険、ショッピング保険付帯のものがあります。
法人一般カードの旅行保険は最高2,000万円、ショッピング保険は最高100万円が平均です。
旅行保険は出張中の病気やけがのリスク、ショッピング保険は商品の破損や盗難のリスクを軽減したいときに便利。
法人カード付帯の保険なら、わざわざ保険会社に申し込みして加入する手間はかかりません。
申し込みからスタートする法人カードの作り方
次からは法人カードの作り方を紹介いたします。法人カード申し込みから受け取りまでのステップは次のとおり。
ステップ1:法人カードへの申し込み
まずは法人カードの申込書を請求します。カード会社の公式サイトより請求すると、申込書が届きますので受け取りしてください。
ステップ2:申込書と必要書類を送付
申込書を受け取りしたら必要事項に記入し、捺印してください。必要書類を同封したら、カード会社へ送付します。
法人カードの必要書類
法人カード申し込み時に提出が求められるのが、次の本人確認書類です。
- 法人は「登記簿謄本、または印鑑証明書」
- 法人代表者または個人事業主は「運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、住民票など」
提出できる登記簿謄本(全部事項証明書)は、
- 現在事項全部証明書
- 履歴事項全部証明書
と2種類ありますので発行日より6か月以内のものを準備してください。他にも法人カードによっては、決算書の提出が求められることがあります。
ステップ3:入会審査への通過
申込書がカード会社に到着しだい、入会審査が実施されます。ランクの高い法人カードほど、入会審査の基準が厳しいです。
法人プラチナカードの中には、
- 会社設立3年以上
- 2期連続黒字決算
といった入会条件が付いており、業歴の短い法人の方だと入会審査への通過が厳しくなります。業歴が短いときは会社設立3年未満でも申し込みできる法人カードを選ぶと良いでしょう。
ステップ4:法人カード発行
入会審査に通過しだい、法人カードが発行されます。入会審査に落ちてしまったときは、当然ながら法人カードは発行されません。
ステップ5:法人カード受け取り
法人カードが発行された後は、指定の住所へ郵送されます。受け取りしだい、法人カードの利用スタートです。法人カードへの申し込みから受け取りまで1か月ほどの期間がかかります。
最初におすすめする1枚
最初の1枚におすすめするのが、次の法人カードです。
個人事業主の方におすすめ三井住友ビジネスカードfor owners
個人事業主の方におすすめするのが、
三井住友ビジネスカードfor ownersのクラシック(一般)カード
です。
登記簿謄本や決算書の提出は不要、業歴の短い方でも申し込みできます。
年会費1,250円(税抜)の負担で、
- ビジネスサポートサービス
- 福利厚生代行サービス
- 国内ゴルフエントリーサービス
など様々なビジネスサービスを利用できるのも魅力のひとつ。
貯めたポイントをマイレージに移行し、特典航空券などに交換したい方にも便利です。
付帯旅行保険を重視したい方におすすめJCB法人一般カード
付帯旅行保険を重視したい個人事業主の方におすすめするのが、JCB法人一般カードです。
JCB法人一般カードでは海外旅行保険、国内旅行保険、ともに最高3,000万円の補償が受けられます。
利用できるビジネスサービスは、
- JR東海エクスプレス予約サービス
- じゃらんコーポレートサービス
- アスクルサービス
- JCBタクシーチケット
- 福利厚生倶楽部
など様々です。
旅行の手配・予約などのサポートが受けられるJCBトラベルも利用できるため、社員旅行や出張時にも便利。
最初の法人ゴールドカードにおすすめ! オリコex gold for biz
最初の法人ゴールドカードにおすすめするのが、オリコ ex gold for bizです。
法人ゴールドカードでも、年会費初年度無料、次年度以降2,200円(税抜)と格安。
選べるラインナップは、
- 法人代表者向けのex gold for biz m
- 個人事業主向けのex gold for biz s
の2種類です。
visaブランドはvisaビジネスオファー、mastercardブランドはmastercardビジネスアシストを利用できます。
空港ラウンジサービス(国内主要空港・海外2空港)付帯の法人ゴールドカードを作りたい方にもおすすめ。
3つの法人カードの比較表
三井住友ビジネスカードfor owners(一般)、JCB法人一般カード、オリコex gold for bizの比較表は次のとおり。
比較 項目 |
for owners (一般) |
JCB 法人 一般 カード |
オリコex gold for biz |
---|---|---|---|
年会費 | 1,250円 (税抜) |
1,250円 (税抜) |
2,200円 (税抜) |
国際 ブランド |
visa/ master card |
JCB | visa/ master card |
限度額 | 最大 150万円 |
最大 100万円 |
最大 300万円 |
ポイント サービス |
ワールド プレゼント |
Oki Doki ポイント |
暮ら スマイル |
基本 ポイント 還元率 |
0.5% | 0.5% | 0.5% |
海外 旅行保険 |
最高 2,000 万円 |
最高 3,000 万円 |
最高 2,000 万円 |
国内 旅行保険 |
× | 最高 3,000 万円 |
最高 1,000 万円 |
ショッピング 保険 |
最高 100万円 |
最高 100万円 |
最高 100万円 |
空港 ラウンジ サービス |
× | × | ○ |
申し込み対象 | 20歳 以上の 法人 代表者/ 個人 事業主 |
法人/ 個人 事業主 |
法人 代表者(m)/ 個人 事業主(s) |
三井住友ビジネスカードfor ownersでは、visaとmastercardのデュアル発行が可能です。visaブランドの法人カード、mastercardブランドの法人カードと2枚持ちたい方に人気。
JCB法人一般カードは様々な法人会員向けサービスを利用できるのが魅力です。限度額最高250万円のJCBゴールド法人カードへの切り替えが比較的容易。
オリコex gold for bizはゴールドランクのため、限度額が高めに設定されています。法人一般カードの一般的な年会費より1,000円ほどのプラスで法人ゴールドカードを持てるのも魅力です。
おすすめ法人カードの選び方
本記事では法人カードとはどんなクレジットカードなのか解説してきました。経費を支払いするときに1枚持っていると便利なのが法人カードです。
ポイントを貯めて景品などに交換できる上に、付帯ビジネスサービスや付帯保険を活用できるのも魅力。
基本的に法人カードは申し込みから受け取りまで2~3週間と時間がかかるのが難点ですが、三井住友ビジネスカードfor ownersやセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードといった一部の法人カードでは最短3営業日〜発行できるものもあります。
事情があって少しでも早く入手したい方は、発行までスピーディーな法人カードを選ぶと良いでしょう。
他にも法人カードのステータスを気にしたい方は、プラチナカードを検討されるかもしれませんが、高いステータスの法人カードであればその分審査が厳しくなりますのでお気をつけください。
個人事業主の方でも、万が一、ビジネス上の経費の支払いに個人のクレジットカードを利用していた場合、法人カードにだけ付帯されているようなサービスもありますので、導入をご検討の場合は早めの移行がおすすめです。
次のページでは、当サイトがおすすめする様々な観点から選ぶおすすめ法人カードをランキングでご紹介いたしますので、よろしければあなたの条件にあった法人カードを見てみてはいかがでしょうか?