ETCコーポレートカードを徹底解説!割引率や申し込み方法は?
業務で高速道路を使う企業にとって、料金所をスムーズに通過できるETCカードは必須のアイテムでしょう。
法人が利用できるものには、クレジットカード会社から発行されるETCカード、高速情報組合から発行されるETC法人カード、ETCコーポレートカードの3種類があります。
この中で、特に有料道路を頻繁に使う企業に向いているのが、大口の割引があるETCコーポレートカードです。
今回は、ETCコーポレートカードに焦点をあてて、割引率や申し込み方法などの基礎情報から、メリット・デメリットまで解説していきます。
法人向けのETCカードは3種類
法人向けのETCカードは、クレジットカード会社から発行されるもののほかに、クレジットカードの審査がいらない「ETC法人カード」「ETCコーポレートカード」があります。
それぞれに特徴があるため、利用目的に合ったものを選びましょう。法人向けの3種類のETCカードについて解説します。
クレジットカード会社が発行するETCカード
クレジットカード会社が発行しているのが、ビジネスカードやコーポレートカードなどに付帯されているETCカードです。
例えば、「三井住友ビジネスカード」や「JCB法人カード」「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード」などさまざまな法人カードで、ETCカードの申し込みができます。
発行可能枚数や発行手数料、年会費などはカード会社によってさまざまです。
ETC利用料金は、法人カードの利用料金と合わせて請求されます。
ETC料金だけでなく、普段利用している経費の支払いも全てまとめられるため経費の管理が楽になるでしょう。
ただし、ETCカードのみの申し込みはできません。
クレジットカードは使わないという企業であれば、後述のどちらかのETCカードを選ぶと良いでしょう。
高速情報組合が発行するETC法人カード
法人ETCカードは、高速情報協同組合が発行する法人向けのETCカードです。
発行のためには組合への加入が必須で、出資金、カード発行手数料、カード取扱手数料(年会費)などのコストがかかります。
クレジット審査が必要ないため、起業したばかりの法人経営者や個人事業主の方でも申し込みがしやすいのが特徴です。
利用車両は限定されていないため、1枚のカードを複数の車で使いまわすこともできます。
頻繁には有料道路を利用しない場合や、常に同じ車両を使うとは限らない場合におすすめです。
大口利用向けのETCコーポレートカード
ETCコーポレートカードは、東・中・西日本高速道路株式会社(NEXCO)より発行される大口利用向けのETCカードです。
このカードでは、ほかの2種類のETCカードには適用されない「大口・多頻度割引」という割引制度が受けられます。
通行料金の利用金額が増えるにつれて割引率も高くなっていくので、有料道路を頻繁に利用する企業の方におすすめです。
ただし、車1台に対してカードが1枚しか発行できず、利用は登録車両のみに限定されるというデメリットもあります。
登録車両でのETC利用が頻繁ではない場合、あまりメリットを感じられないかもしれません。
ETCコーポレートカードの基礎情報
ここからは、ETCコーポレートカードの割引率や申し込み方法、利用方法などの基礎情報について解説していきます。
割引率
ETCコーポレートカードの利用で最も魅力的なのが、「大口・多頻度割引」です。
この割引制度は毎月のETC利用料金が大きくなるほど、割引率が高くなります。
自動車1台ごと、1カ月あたりの有料道路利用額に対する割引率は、以下の通りです。
- 5,000円を超え、10,000円までの部分:10%
- 10,000円を超え、30,000円までの部分:20%
- 30,000円を超える部分:30%
さらに、契約者ごとの1ヶ月の有料道路の利用額合計が500万円を超え、かつ、契約者の自動車1台あたりの1ヶ月平均利用額が3万円を超えた場合、同時に5~10%の割引が適用されます。
ただし、大口・多頻度割引は、NEXCOにより定められた道路でのみ割引が適用されるため、一部の高速道路や、多くの一般有料道路では適用になりません。
また、一般のETCカードで適用される平日朝夕割引と重ねて適用はできないなど、さまざまな条件があるため注意が必要です。
申し込み方法
ETCコーポレートカードの申し込み方法は、東・中・西日本高速道路株式会社(NEXCO)に申しこむか、「高速協同組合」や「ETC協同組合」などの事業協同組合経由で申し込む方法があります。
直接申し込む場合は、1ヵ月の利用金額の4倍にあたる保証金が必要となるので、事業協同組合経由で申し込むのがおすすめです。
まずは、各組合に資料請求をしましょう。資料が届いたら必要事項を記入し、必要書類とともに返送します。
必要書類は組合によって異なりますが、主に以下のものが必要になります。
- 申込者の法人登記簿
- 申込者の印鑑証明
- 自動車検査証
出資金の振り込み後、ETCコーポレートカードの発行となります。
利用方法
ETCコーポレートカードが届いたら、特に手続きはなくすぐに利用ができます。
ただし、利用できるのは申し込み時に登録した車両番号の車両のみです。
それ以外の車両では利用できないので注意しましょう。
料金の支払いは、口座振り込みとなります。請求書が送られてきたら、支払い期日までに支払いをしましょう。
ETCコーポレートカードのメリット・デメリット
ここからは、ETCコーポレートカードのメリットとデメリットについて解説します。
メリット1:大口・多頻度割引が適用される
先ほど紹介をしたように、ETCコーポレートカードは他のETCカードにはない「大口・多頻度割引」が適用されます。
月に3万円以上の有料道路利用額がある場合は、3割の割引が受けられるというかなり高い割引率となります。
有料道路を利用する機会が多い企業は、この割引が適用されることで経費の削減になるでしょう。
メリット2:クレジット審査が不要
クレジットカード会社で法人向けETCカードを申し込みするときは、基本的には法人カードの申し込みが必要となります。
そのため、申込時にはクレジット審査を受けなくてはなりません。
一方で、ETCコーポレートカードにはクレジットの審査は不要です。
ETCコーポレートカードの申し込み時には、ETC車載器が搭載されているかどうかや、車両制限令違反車両ではないかなどが審査対象となります。
まだ起業したばかりで事業が安定していない企業経営者や個人事業主の方でもETCコーポレートカードなら申し込みがしやすいといえるでしょう。
デメリット1:利用できる車両が限られる
ETCコーポレートカードの利用は、申込時に登録した車両のみに限定され、カードは車両1台につき1枚ずつしか発行することができません。
そのため、車をたくさん利用する事業の場合は、台数分のETCコーポレートカードを発行する必要があります。
台数分のETCコーポレートカードを利用するには、その分発行手数料や年会費が必要になるのでコストがかかります。
この点は大きなデメリットだといえるでしょう。
デメリット2:マイレージポイントが貯まらない
ETCコーポレートカードでは、マイレージサービスのポイントが貯まらないというデメリットもあります。
マイレージサービスとは、ETC利用額に応じてポイントが貯まり、貯まったポイントを通行料金に充てられるというサービスです。
このマイレージサービスは、クレジットカード会社から発行されるETCカードやETC法人カードでは適用されます。
大口・多頻度割引が適用されなければ、マイレージサービスの方がお得になる場合があるので、ETCを利用する頻度によってどちらを選ぶか検討しましょう。
何枚も発行したい場合はクレジットカード会社から発行するのがおすすめ
ETCコーポレートカードの大きなデメリットは、ETCカードを利用する車両が限定されていることです。
複数台の利用をする場合はその分ETCカードが必要になり、コストがかかってしまいます。
「ETCカードを何枚も発行したい」という場合には、クレジットカード会社からETCカードを発行するのがおすすめです。
例えば、「三井住友ビジネスカード」や「三井住友コーポレートカード」では、1枚のカードにつき複数枚のETCカードを発行することが可能です。
さらに、発行手数料は無料、年会費も無料(ビジネスカードは前年に1回以上の利用で無料)であるため、コストもETCコーポレートカードやETC法人カードより抑えられます。
カード会社によって年会費や発行手数料はさまざまなので、ETCカード目的で法人カードを発行する際は、その点も確認しておきましょう。
まとめ
今回は、法人向けの「ETCコーポレートカード」について解説しました。
ETCコーポレートカードの最大の魅力は、他のカードでは適用されない「大口・多頻度割引」が適用されることです。
高速道路などの有料道路を利用する頻度が高い企業は、ETCコーポレートカードを導入するのがおすすめです。
ただし、ETCコーポレートカードには利用できる車両が限られていたり、マイレージサービスの対象とならなかったりするデメリットもあります。
状況によってはETC法人カードやクレジットカード会社が発行するETCカードのほうがお得になる場合があるので、利用状況によってどれを選ぶか検討しましょう。